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北海道庁爆破・再審請求裁判(大森勝久)

第80回 ねつ造証拠(山平除草剤鑑定、発見リン止めね
じ)を排除しない裁判所(2016年3月13日記)
第80回 ねつ造証拠(山平除草剤鑑定、発見リン止めねじ)を排除しない裁判所
 札幌地方裁判所は3月下旬に決定を出します。ねつ造証拠を排除せず、逆に支持して「再審請求棄却」の決定を出すことになります。本コラムは毎月初めにアップロードしています。「決定書」を読んでからまとめたのでは間に合わなくなりますので、決定書批判は4月執筆の5月初めアップの第81回コラムで書くことにします。

●山平除草剤鑑定はねつ造証拠です
 第2次再審請求は2013年1月に行いました。@「山平除草剤鑑定はねつ造である」とA「発見リン止めネジ(8月10日)はねつ造である」の2点の主張立証をしました。Aは最近のコラムで連続して書いていますが、@は第41回コラム第53回コラム第74回コラムがわかり易いと思います。関心のある方は御覧ください。

 「山平鑑定」というのは、私が8月7日にゴミステーションに捨てた37点の物の中のビニールシートとカーテン地(切り取ったもの)の2点から、除草剤(塩素酸ナトリウム)付着のイオン反応が得られたという鑑定です。これによって私は除草剤(混合火薬の主剤)を所持していたと認定されたのでした。8月8日にこの鑑定をやったということになっています。

◎ ところがビニールシート、カーテン地を含む32点は「指紋検出の資料」にもなっていて、「捜査方針」として「まず指紋を検出し、検出を終えたものは化学鑑定へ回す」となっていましたから、32点の指紋検出は8月9日であるため、8月8日には化学鑑定は行うことができないのでした。32点は8月9日に「科研」(刑事部犯罪科学研究所)に届けられたのでした。化学鑑定を先にすると指紋は消失してしまいます。「共犯」の存在を道警は考えていました。しかし指紋検出を先にしても化学鑑定は支障なく出来るのです。37点の中の5点(軍手や網かご3個、木炭末)は指紋検出資料から除外されましたから、8月8日に本実氏が化学鑑定を実施しました。山平氏ではありません。

 山平氏は石原警視からねつ造鑑定書を作成することを命じられたのですが、「8月8日にビニールシート、カーテン地等の鑑定を行った」とすることで、ねつ造であることを間接的に訴えたのです。

◎ 山平氏は第1次再審請求審のときに証人として証言しました(2004年9月。山平新証言)。山平氏は1審、控訴審のときには、「8月8日から8月20日まで鑑定をしました。8日にはビニールシートの付着物を採取するため、さらに40センチ四方を切り取って付着物を抽出採取しました。私が一人でやりました」と証言していたのですが、前記山平新証言では「8月9日の朝、ビニールシートなどが科研に届くと本実氏らが手分けして検査の準備をしているのを見ています。本実氏らがビニールシートの一部を切り取っているのも見ています。私は切り取っていません。私は8月9日以降は一切鑑定に関わっていません」と極めて重要な証言をしたのです。これは37点の鑑定を行ったのは本実氏たちであり、私はやっていませんと、「山平鑑定」を否定する証言です。つまり山平鑑定はねつ造であるという意味です。

◎ 山平氏は控訴審になってから、石原警視から命じられて「山平電話通信用紙」を作成しています。検査の「中間回答」を電話で行ったことを書類にしたものです。それによれば、「添付別紙」(資料名と検査項目と結果が一覧表になっているものです)に記載された20点の資料について、塩素イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、アンモニアイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンの検査を行い、その結果を8月8日の午後2時30分発で高山警部に対して電話で報告したことになっています。山平氏は前記山平新証言では、「別紙に書かれている検査結果は2時30分前に終了しています」と証言しました。
 
 これだけの検査を山平氏一人で行うのは、時間的に不可能であることは一見して明らかです。つまり山平氏はこういう形で山平鑑定がねつ造であることを示そうとしたのでした。

◎ また山平氏の資料名の一番上の欄に「ポリバケツ」を記入しました。このポリバケツは道警が8月19日に私の元居室から大家のN氏から任意提出されて押収したものであり、8月8日には道警の「科研」(刑事部犯罪科学研究所)には存在していません。電話通信用紙のねつ造を命ぜられた山平氏は、ポリバケツを記入することでねつ造であることを間接的に訴えようとしたのでした。

◎ 私たちは第2次再審請求で、第1次再審請求で札幌地裁と高裁が私たちの新証拠(化学実験DVD)を排斥したその主張を粉砕する新しい化学実験DVDも提出しました。

 山平鑑定はねつ造証拠です。刑事訴訟法は裁判官にねつ造証拠は証拠排除することを命じています。しかし札幌地裁はそうしません。

●「発見リン止めネジ(8月10日)」は外から持ち込んでねつ造したものです
◎ 道警は道庁爆破の時限装置のシチズンのトラベルウォッチにはリン止めネジの代わりにケース止めネジが使われていて、犯人の元にリン止めネジ2本が残されたことを早くから認識していました。道警の科研には、本件の時限装置に使われたシチズンのトラベルウォッチと同規格のものが3種類有りました。「発見」が真実であれば、道警の爆弾捜査本部は直ちに「発見ネジ」を手持ちのシチズンのリン止めネジと同一規格のものかどうかを鑑定させます。ところが石原警視は、8月15日になって、何に使われるネジであるかを捜査させるために「発見ネジ」を持たせて3名の警察官に市内の時計店への聞き込みをさせましたと証言したのでした。これはねつ造したことを隠すために、道警はねじの重要性を認識できていなかったとアピールする演技の捜査を実施したものです。

◎ 「科研」の中島氏は8月16日〜18日に発見リン止めネジの精密測定を行っています。「8月21日付けの中島・本鑑定書」です。本審において私たちの開示要求を受けて、裁判所が開示勧告を検察官に出して検察官が開示した(隠されてきた)証拠です。そこには、ねじの傷については何の記載もありません。すなわち発見リン止めネジのドライバー溝にはドライバー傷は付いていなかったのです。

◎ 8月15日に時計店への聞き込みを行った西川警部の「8月15日付け捜査結果報告書」(これも開示勧告で開示されました)にも、ドライバー傷は一切出てきません。

◎ ところがやはり開示勧告によって開示された「8月26日付け吉村回答書」には、「発見リン止めネジ」について「ドライバキズアリ」と明記されています。吉村氏はシチズンの時計を作っているリズム時計の栃木県の益子工場長です。

◎ つまり8月10日の「発見リン止めネジ」は8月21日の中島・本鑑定書作成後に、石原警視によって傷をつけた別のリン止めネジにすり替えられて、「発見リン止めネジ」として益子工場の吉村氏の検査(8月26日)に提供されたのです。

 石原警視は慌てていたために、8月9日位に市内の時計店で購入したシチズンの時計のリン止めネジをはずして(だから傷はついていない)、里警部に命じて8月10日に布団袋の中から発見されたようにねつ造させたのですが、その後に、工作していたのだからリン止めネジにはドライバー傷が付いていないとまずいことに気付いて(傷がないとねつ造したことを疑われる)、傷をつけた別のリン止めネジにすり替えたのです。すり替えの事実が8月10日の「発見リン止めネジ」がねつ造であることを雄弁に証明しています。

◎ 私たちはまた里警部の発見状況の証言を再現する実験を行いDVDに収めました。DVDを見れば不自然さは明瞭です。里警部はリン止めネジを手の中に隠し持っていて布団袋の中から発見したように装ったのです。

 「発見リン止めネジ」はねつ造されたものです。裁判所は証拠排除しなくてはなりませんが、検察側の主張をそのまま支持してしまうのです。

●山平除草剤鑑定と発見リン止めネジが証拠排除されたら、「道庁爆破の実行」の証明(有罪)はできなくなります
 山平除草剤鑑定と発見リン止めネジは、私と本件爆発物とを結び付ける原審(一審と控訴審)の事実認定の核心的な証拠です。この2つの証拠がなければ、私が「本件爆発物を製造した」との間接事実の証明はできなくなります。そうすれば、私が本件爆発物を道庁に設置して爆発させたという「道庁爆破の実行」(これが公訴事実です)の証明はできなくなります。

 だから裁判所は、この2つがねつ造証拠であることが明々白々になっても証拠排除しないのです。

2016年3月13日記
大森勝久



◎お知らせ 札幌地裁は3月28日(月)、再審請求棄却の決定を出しました。弁護団は札幌高裁へ即時抗告を申し立てました。


-以下は北海道新聞のWEB版より転載させていただきました-

大森死刑囚の再審請求棄却 道庁爆破 札幌地裁、新証拠認め
03/28 14:03、03/29 01:22 更新
 
 1976年の道庁爆破事件で、殺人などの罪で死刑が確定した大森勝久死刑囚(66)の第2次再審(裁判のやり直し)請求について、札幌地裁(田尻克已裁判長)は28日、「確定判決の事実認定に合理的な疑いは生じない」として、再審を認めない決定をした。弁護側は即時抗告する方針。
 大森死刑囚は逮捕以来、一貫して無罪を主張。事件と結びつく直接的な証拠がない中、大森死刑囚の居室の家宅捜索で《1》カーテンなどから爆薬成分が検出された《2》布団袋の中から爆弾の時限装置に使われた時計の部品とされるねじ(全長約3ミリ)が発見された―ことなどが有罪の決め手とされた。
 第2次再審請求審で弁護側は、ねじの発見状況を再現した映像を新証拠として提出し、「警察官が証言した方法では発見できない。捜査機関による捏造(ねつぞう)だ」と主張。しかし、決定理由で田尻裁判長は「ねじを発見した警察官の証言は信用でき、発見状況が不自然とはいえない」と判断した。
 札幌地検は昨年1月、弁護側の証拠開示請求に応じ、ねじの鑑定書など未開示だった21点の証拠を新たに示した。弁護団は鑑定書などを分析した上で「道警などが測定したねじの大きさは3回の結果が全てばらばら。捏造やすり替えの疑いがある」と主張したが、田尻裁判長は「測定はいずれも手作業で行われ、使われた測定器も同一のものではない。弁護団の主張は誤差の範囲が最大0・05ミリ以内という前提だが、それを超える誤差が生じることはあり得る」と退けた。
 決定を受け、札幌市内で記者会見した弁護団の浅野元広弁護士は「『疑わしきは罰せず』という刑事訴訟法の大原則をじゅうりんする不当な決定だ」と批判。札幌地検の片岡敏晃次席検事は「適正・妥当に判断していただいたと考える」とのコメントを出した。

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