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●検察官が2013年12月25日に「意見書」を提出しました
私たちは第2次再審請求を2013年1月23日に札幌地裁に請求しました。地裁は同年3月11日に、検察官に対して「意見書」の提出を求め、私たちに対しても「再審請求補充書」があれば、その提出を求めたのでした。私たちは8月6日に「再審請求補充書(一)」を出しました。検察官の「意見書」はなかなか出されなかったのですが、年末12月25日付で提出されたのでした。全29頁のものです。
私は弁護人からそのコピーを27日に受け取り、読みましたが、全く私たちの新証拠を批判できないものでした。私は休日明けの1月6日に、弁護人へ私の意見を伝えました。今後弁護人は、弁護団会議を重ねて、いずれ「再審請求補充書(二)」として提出していくことになります。その間、私と弁護人との意見交換もなされることになります。
●「新証拠1」(山平鑑定不存在を立証する、蒸発皿を用いた濃縮実験のDVD)が明らかにしたこと
「山平電話通信用紙」および第1次再審請求時における「山平証言」(2004年9月)によれば、山平氏は8月8日の午後2時30分までに、山平電話通信用紙「添付一覧表」(鑑定資料と各検査の結果を記載したもの)の全ての資料(20点)について、全ての検査項目を終えて、2時30分に電話で中間報告したことになっています。
山平氏はまずビニールシート、カーテン地、軍手の3点から取りかかったと証言したのですが、彼の証言を再現してみますと、2時30分までに塩素酸イオン検査を終えられるのは第1水溶液(最初に濃縮にとりかかった水溶液のこと)のみで、他の2つの水溶液は、検査可能な濃度にまで濃縮ができないことが明らかになりました(新証拠1)。
すなわち、確定審で事実認定されました、「山平は2時30分にビニールシート、カーテン地、軍手の3点から塩素酸イオンが検出された旨を電話で中間報告をした」は、完全な誤りなのです。たしかに、検察官の「意見書」は、この3点については、不合理な主張ではありますが反論を試みていました(省略します)。
しかし、私たちが「新証拠1」で明らかにしたことは、前記3点の資料ですら前述のとおりであるのですから、残りの17点の資料についても、2時30分までに、塩素酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、アンモニアイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンの検査を終了することは不可能であることは火を見るよりも明らかである、ということです。すなわち、山平鑑定は空想の産物であって、存在しなかったということです。当然、前記3点から塩素酸イオンが検出されたことを2時30分に電話で中間報告した、ということも虚偽です。山平鑑定は不存在なのです。
検察官は反論不可能なので、残りの17点の検査については、「意見書」では沈黙してしまっているのです。第41回コラムも参照してください。
●「新証拠2」(「リン止めネジ発見」は捏造であることを立証する「発見状況再現実験」のDVD)を全く批判できない検察官意見書
里警部は8月10日、私が居室に残していった布団袋の中から、リン止めネジ1本を発見し押収した、と証言しました。私たちは、この発見状況を再現する実験を行いDVDに収めました。「新証拠2」です。まず第42回コラム、第43回コラムをご覧になってみて下さい。「発見」が捏造であることがはっきりと判ります。
検察官は「新証拠2」を正当に批判することは不可能であるため、「意見書」では次のような主張を展開していました。いずれも苦しまぎれの、ためにする主張であることが明白です。
(1)布団袋は深さが80pもあり、手を中に入れて底をたたくことはできません。検察官は〈中の布団や毛布などを取り出した布団袋は、写真を見ると、側面はくしゃくしゃにつぶれた状態になっている。だから里警部が、2人の警察官に布団袋の両端を持たせて持ちあげさせても、側面はくしゃくしゃにつぶれている状態であるから、里は手を中へ入れて容易に布団袋の底をトントンとたたくことはできたのだ〉と反論しているのです。
愚かな主張です。布団袋は持ちあげれば、自らの重さでくしゃくしゃになっていた側面は一瞬で真っ直ぐに伸びて、80pの深さになってしまうのです。手は底に届きません。
(2)検察官は布団袋を写した小さな写真を利用して、〈写真を見れば布団袋の内側は白い布製だと認められるから、里が手を中に入れて底をトントンとたたいても、直ちにリン止めネジが飛びハネ回るとは限らない〉と反論していました。
しかし、里警部が作成した8月10日付検証調書には、布団袋は「ビニール製」と明記されているのです。同検証調書には、布団袋の内部についても言及がなされています。また、谷津警部が作成した8月16日付検証調書では、「レザー張りの布団袋」と記されています。こちらも中を検分したことも書かれています。もしも、外側はビニール製(レザー張り)、内側は布製であれば、そのようにちゃんと2つが記載されます。ビニール製またレザー張りとしか書かれていないのは、外側も内側も同じ材質だからです。検察官の主張は、完全にためにする主張です。
以上、一部についてのみ批判を述べましたが、検察官の「意見書」は、新証拠1、2にもはや反論できないことを逆に示した内容になっています。
2014年1月8日記
大森勝久
●追記
先程(2014年1月8日)、職員が来まして、「昨日、外部交通権のない人から手紙が届きましたが、交通権がないため交付はできません。ただ、同封されていた切手は交付します」と告知されました。「星座シリーズ」の80円切手10枚を交付されました。お名前もご住所も分かりませんが、ありがとうございます。本ホームページのトップページに、連絡先のメールアドレスが載せてあります。そちらへご連絡していただければ、間接的に私に届くことになります。
大森勝久
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