北海道庁爆破・再審請求裁判(大森勝久)


第42回 「発見リン止めネジ」が捏造証拠であることを
証明する新証拠(2013年3月16日記)


「発見リン止めネジ」が捏造証拠であることを証明する新証拠
里幸夫警部の証言内容
 北海道警察は、本件爆発物の時限装置(トラベルウォッチ)の爆破現場物を調べて、犯人の元にトラベルウォッチのリン止めネジ2本が残されたことを突きとめました。遅くとも事件(1976年3月2日)の2ヶ月後の5月には突きとめています。私は同年8月10日、間借りしていた大家さん宅を出て(前夜、大家さんご夫妻はお別れ会をしてくださいました)、苫小牧のフェリーターミナルに着いたところで逮捕されました。午後3時21分です。里警部を班長とする7名は、3時30分頃に大家さん宅に着き、4時18分から私が間借りしていた部屋の検証と捜索差し押さえを開始したのでした。そして、「リン止めネジ」1本を布団袋の中から「発見した」というのです。
 
 里警部の証言骨子は以下です(1審46回、47回公判)。
 @ 差し押さえるべき物件は、塩素酸塩類や時計や時限装置及び起爆装置の材料となるべき物件等々です。
 A 布団袋はひもをほどいて、中の掛布団2枚、敷布団、毛布、ロープと細引きを取り出しましたが、空になった布団袋の「中をのぞき込むようなことはしませんでした」(47回12頁)。(捜索しているのですからのぞき込むのが当然です。里証言は嘘です。後述します。大森)。
 B 空になった布団袋を2人の警察官に両方から持たせまして、「私が中に手を入れて底の中心部をトントンと手でたたいて、布団袋の周囲に付着しているゴミなどが底のまん中に集まるような形で底をトントンとたたいてみました」(第46回、16、17頁)。
 C 次に、布団袋を「いったん下に置いて広げてみて、ゴミを検分した段階で(ネジを)発見したということです」(46回、17頁)。「それ(ゴミ)を手で丹念により分けるような形で見た状態で発見したと、こういう状況です」(47回、31頁)。
 D ゴミの量は、「ごく少ない。盃に1杯くらいのゴミです」(47回、31頁)。「底に少したまったゴミ、綿ぼこりだとか、髪の毛みたいなものだとか、ロープの切れ端、ゴミみたいなものですが、その中に金色のビスが1個入っておったと、これを発見しました」(46回、17頁)。

里証言の再現実験DVD(新証拠)−里証言は頭の中で作り上げたもの
 (1)私の布団袋は、道警の8月16日付検証調書によれば、縦65cm、横95cm、高さ(深さ)80cmです。内側は白色です。私たちは再現実験をするために、この寸法の布団袋を特別注文して作ってもらいました。内部の状況が見えるようにするために、横2面は透明のビニールにしてもらいました。リン止めネジは、同一規格のネジを用意しました。盃に一杯のゴミも用意して、再現実験をしてDVDに収めました。

 里警部が証言したことの大部分は、実際に行なったことではなくて、頭の中で想像して作り上げたものであることが直ちに明白になったのです。手を布団袋の中に入れて、底の中央部をたたこうとしても、手が全く届かないのです。一番手前の底にも届きません。

 (2)私たちは、手が底に届く市販されている布団袋も購入して、それで里警部が言ったことを再現して、DVDに収めました。大きさは縦65cm、横100cm、高さ(深さ)50cmです。

 底の中央部をトントンとたたきますと、リン止めネジはハネ上ったり、右や左にと目まぐるしく動き回ります。ですから、すぐに「ネジらしいものがある!」と分かります。里証言の前記Bが嘘であることがすぐに分かります。

 布団袋を下に置けば、ゴミをより分けるまでもなく、すぐにネジらしいものがあると分かります。彼らはリン止めネジを探しているのですから。盃一杯分のゴミといいましても、固形ゴミではなく、綿ぼこり、髪の毛、ロープや細引きの切れ端です。軽いですから1ヶ所に集まりません。また、透けて見とおせるのです。Cも頭の中で作ったものです。
 
 里証言は全くの虚偽であることが明らかになりました。「発見リン止めネジ」は、道警の幹部から渡されたものであり、里警部はそれを手の中に隠し持っていて、前記Aで、掛布団や敷布団や毛布等を取り出した後に、すぐ彼一人で空になった布団袋の陰になっている隅の方を探すふりをした後に、それを手の掌に乗せて、これが布団袋の中にあったとして、写真をとらせたのでした。前記のBCDは、「発見」をもっともらしく印象づけるためにした、全く架空の作り話なのです。

 本裁判では、直接的な物証は当然のことながら何もありません。だから、この「発見リン止めネジ」は同一規格のものですから(シチズン製は全てが同一規格ですが)、裁判所は重要視しました。だが、捏造されたものであることが証明されたのです。

 山平鑑定にしろ、この発見リン止めネジにしろ、北海道庁前での目撃証言にしろ、捏造証拠です。道警はこうした中心的な証拠を捏造して、私を本件で逮捕していったのでした。

2013年3月16日記
大森勝久

Top      目次  前回のコラム

北海道庁爆破・再審請求裁判(大森勝久)