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●2月、弁護人が裁判所に「中島鑑定書」の開示命令を申立てました
「発見リン止めネジ」の鑑定書は3通ありますが、最初の8月21日付の道警犯罪科学研究所吏員の中島氏の鑑定書(8月16日から18日に実施)は、1審、2審の法廷に提出されませんでした。検察官が隠してきたのです。この鑑定書には、「ネジのドライバー溝には、ドライバーで付いた目立った傷は見受けられない」といった記載があるはずです。
証拠物になっている「発見リン止めネジ」(766番)には、ドライバー溝の片側に1ヶ所、反対側に2ヶ所、計3ヶ所にドライバーで付いた目立った傷があります。鶴原警部補は法廷で766番のネジを見て、すぐに「傷がグッとあるのですが」と証言しています(第50回コラムの2節目参照)。道警は、〈犯人は時限装置の工作をするため、何度もリン止めネジをはずしたり、絞めたはずであり、傷がついてないネジだと、道警が捏造したことが分かってしまう〉と後日気付いて、傷の付いたものにスリ替えたか、傷をつけたのです。そして、8月21日付中島鑑定書は隠すことにしたわけです。これらのことは第51回コラムに詳しく書いてあります。参考にして下さい。
本当にリン止めネジを発見したのであれば、後日スリ替える等をするわけがありません。つまり、スリ替えた事実が、「発見」が嘘であり、道警(里警部)が捏造したネジであることを証明するのです。
●「リン止めネジを発見」した里警部の証言内容―傷はない
1審46回公判で、弁護人に尋問をされてリン止めネジ「発見者」の里警部は、「まあ、これに固有の特徴というのはないと思いますけど。」「これはもう、マイナスネジであり、大きさといい、これは当時私がよく確認しておりますので、これに間違いないというふうに思います」と証言しています(46回51頁)。
そして弁護人の、「仮に二つのネジがあったら、同じようなネジがあったら、こちらがそうで、もう一つが違う、などという区別は、できないでしょう」の質問に、「全く外見上同じようなものであれば、判断できません」(52頁)と証言したのでした。
すなわち、里警部は自分が「発見」したネジには、前記したような3ヶ所のドライバー痕はないことを明白に証言しているのです。
なお、検察官は今回の「意見書」(2013年12月25日)で、「同ネジのドライバー溝部分に傷があるか否かは、同ネジを一見したところでほとんど判別できず、時間をかけてじっくりと注視して観察することにより、かろうじてドライバー溝の片側先端に、ごくわずかの傷が見て取れるにすぎないから、里や中島が同ネジの傷に気付かなかったとしても、決して不自然とは言えない」と書いています。これは、すぐ判る下手な逃げの弁解です。
鶴原警部補が47回公判で肉眼で見て、すぐ傷を認めています。私たちも当時49回公判で、鑑定人・吉村新工場長が証言(ドライバー溝に傷があると)したときですが、766番のネジを法廷で見ましたが、すぐに傷が判りました。
1審の検察官は、目立つ傷がないとする中島鑑定書(8月21日付)の存在を知っており、リン止めネジのスリ替えを認識していたからこそ、里警部(46回、47回公判)にも中島鑑定人(48回公判)にも、傷について訊くことを避けたのです。
2014年3月19日記
大森勝久
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