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北海道庁爆破・再審請求裁判(大森勝久)

 第70回 「発見ネジ」捏造をカムフラージュするための8月
13日付鑑定嘱託の鑑定事項と8月21日付け中島富士雄
鑑定書 (2015年6月7日記)
「発見ネジ」捏造をカムフラージュするための8月13日付鑑定嘱託の鑑定事項と8月21日付け中島富士雄鑑定書
●「発見押収リン止めネジ」を捏造した不安が、一ヶ月以上に及ぶ演技の捜査を行わせました
 私は前回第69回コラムで、道警が行った証拠捏造(「発見押収ネジ」)をごまかすための演技の捜査(1)から(8)について書きました。その続きとして本コラムを書いていきます。第69回コラムを読まれてない方はご一読ください。

 「発見押収ネジ」(8月10日)が本当であれば、道警は第69回コラムの3項目の(7)に書きました8月28日付鑑定嘱託を、8月10日付で実行しています。8月10日か11日には鑑定は終了します。その次に、第3者にも鑑定をしてもらうということで、(8)に書きましたリズム時計益子工場長の吉村新氏に鑑定嘱託をしています。9月8日付の嘱託ではなく、8月15日頃となります。(1)から(6)に書いた捜査はしません。

 リズム時計では59種類のトラベルウォッチを作っているが、リン止めネジは全て同一規格であること、またリズム時計がリン止めネジ製造を委託している会社は、他社へは販売していないこと、他社のトラベルウォッチのリン止めネジはリズム時計のリン止めネジとは異なっていることの捜査は、3月4月段階で終了しています。その捜査報告書もその時点で作成されていますから、道警はそれを証拠書類として検察庁へ提出すればいいだけです。

 道警の石原啓次警視(捜査主任官・警備課長のナンバー1の幕僚であり、実質的な捜査主任官です)が(7)と(8)の捜査ではなく、(1)から(8)までの捜査をさせたのは、ネジを捏造したからです。(7)と(8)だけの捜査では、道警がリン止めネジを捏造したのではないかと疑われると不安を抱いたからです。

 そのため、石原警視は3月4月時点で得ていた捜査成果を伏せて(隠す)、つまり犯人の元にリン止めネジ2本が残されたという事実を隠し、知らないふりをして、また石原警視はリン止めネジの形状も熟知しているのですが、それも知らないふりをして、「何のネジだろうか?」という初歩的なところから捜査を開始していったという演技をしたのでした。

●8月13日付鑑定嘱託の鑑定事項とそれを受けた8月21日付鑑定書の内
 8月13日付鑑定嘱託の「鑑定事項(2)」は次の内容でした。「資料(1)については、製品名、用途等および昭和50年7月19日発生道警本部庁舎内爆破事件ならびに昭和51年3月2日発生、北海道庁庁舎内爆破事件現場から採取した遺留品に類似した物件がなかったか」。資料(1)とは発見押収ネジです。

 しかし石原氏は資料(1)(発見押収ネジ)などを中島氏にすぐ渡していません。石原氏は「8月15日になって、何に使われるネジかを捜査させるため、市内の聞き込みをさせた」と証言しています。実際3名の警察官が発見押収ネジを持って聞き込みに行きました。8月15日の捜査が終わった後の16日に、資料(1)(ネジ)などの鑑定資料は中島氏に提供されたのでした。

 中島氏は8月16日から18日にかけて鑑定を実施し、8月21日付鑑定書を作成しました。彼は「鑑定経過」として次のように書いています。「資料(1)について。ア、資料は黄銅色非鉄金属製のすりわり付丸平頭小ネジ1本であるが、その大きさは下図に示すとおりである(以下小ネジという)」(10倍に拡大した投影図と寸法は省略します。大森)、「資料の小ネジは、形状、寸法がリズム時計工業KK製シチズン・トラベルウォッチ各種類のリン止めネジとほぼ一致する」「イ、道警本部庁舎内爆破事件及び北海道庁庁舎内爆破事件において採取された資料のうち、道警本部庁舎内爆破事件資料にはネジ部は変形しているが頭部の形状、寸法が資料のネジと酷似するものが1本のみ認められる(負傷者より摘出採取)」。彼は「鑑定結果」として、「資料(1)はリズム時計工業KKシチズン・トラベルウォッチ各機種のリン止めネジと形状・寸法が一致する」と記しています。

 爆弾捜査本部(石原氏)は、道警事件ではリン止めネジが1本、リン柱に入った状態で発見されたことは既に知っています。もう1つのリン柱は未発見であり、そこに入っているネジがリン止めネジ(マイナスネジ)か互換性のあるケース止めネジ(プラス・マイナスネジ)かは不明です。石原氏は道庁事件では、リン柱が2つ発見されてそこにはケース止めネジが使用されており、リン止めネジは1本も採取されず、つまり犯人の元に2本が残されたことを熟知していました。もちろんリン止めネジの形状・寸法も分っていました。が、知らないふりをして上記の訳のわからない「鑑定事項(2)」を書いたわけす。

 この鑑定事項を見て戸惑ったのは中島氏です。中島氏は石原氏に、既にこういうところまで判明していますがと説明し、道庁事件では犯人の元にリン止めネジ2本が残されたことを「鑑定経過」に書いていいかどうか確かめたはずです。石原氏は理由は言わずに、そこには触れずに鑑定事項のことだけに限定して作成してもらいたいと言い渡したはずなのです。

 なお「鑑定事項(5)」は、「その他参考事項」となっています。中島氏はこの点については一切何も書いていません。もし資料(1)(発見押収リン止めネジ)のドライバー溝にドライバー傷が付いていれば、それは何度も絞めたりはずした痕跡であり重要な意味を持ちますから、必ず「ドライバー溝にドライバー傷あり」と書かれます。また、10倍の拡大投影図のドライバー溝の所に、ここにドライバー傷ありと説明文がつけられます。中島氏がその部分の傷の有無をしっかりと確認したことは言うまでもないことです。

●8月28日付鑑定嘱託の鑑定事項と中島8月29日付鑑定書の内容
 この鑑定の資料は資料(1)として、道庁事件の現場から採取したトラベルウォッチの部品等の一切。資料(2)は、大森の元居室から差押したビス1点です。このビスは8月13日付鑑定嘱託→8月21日付け鑑定書に提供されたビスではありません。スリ替えられたドライバー溝に傷が付いているビスです。鑑定事項は「(1)、資料(1)の破損の概要。(2)、資料(1)のビスと思われるものの本数及び使用個数ならびに同種ビスの認定等。(3)、資料(1)の中にリン止めビス(ネジ)と認められるものの発見の有無ならびにリン止めビス部に使用したと認めるビスの状況。(4)、資料(2)のネジは本来資料(1)のどの部分に使用されるものであるか。(5)、その他参考となるべき事項」です。中島氏は8月28日に着手し同日に終了しています。

 中島氏は48回公判で、「このとき現場の資料(1)も実際には手元に来ていませんし、資料(2)も来ていません。これらの鑑定事項のうち、1つ目と2つ目と3つ目は既に3月4月段階で終えている鑑定です。4つ目は8月中旬に既に行った鑑定です。5つ目もすでにやったものです。それらを形式的に8月29日付鑑定書としてまとめ直しただけです」旨を証言しました。だから中島氏はスリ替えられた傷がついている発見押収ネジは見せられてません。

 中島氏は「鑑定経過」と「鑑定結果」で、(1)については、資料(1)は原形のないほど破損されたシチズン・トラベルウォッチ「ツーリスト024」の部品47点である。(2)については、資料(1)の中には4本の小ネジがあり、2本はリン柱に、他の2本は文字板受足にねじ込まれている。これら4本は前記時計のケース止めネジ2本および下板止めネジ3本と形状、寸法が一致する。4本とも同規格のネジ。(3)については、資料(1)の中には本来のリン止めネジ(すりわり付丸平頭のネジで、他の部位のネジとは頭部の形状が異なる)は1本もない。リン柱には他の部品のネジが流用されている。(4)については、リン止めネジとして用いられるものである。(5)については、資料(1)の文字板受足にねじ込まれているネジの1本にはリード線様のものがまきつけられ接着剤とみられるもので固定されている、と書いたのでした。(3)の意味は、ケース止めネジ(プラス・マイナスネジ)2本が2本のリン止めネジ(マイナスネジ)に流用されているのであるから、犯人の元には2本のリン止めネジが残されたということです。

 繰り返します。「発見押収」が真実であれば、石原氏は8月10日付けでこの8月28日付鑑定嘱託を中島氏にしたのですが、自らが捏造を命じているため不安に思い、演技の捜査をさせることになったのでした。そのことが逆に、発見ネジが捏造されたものであることを物語っています。それらの演技の捜査は「発見ネジ捏造」の状況証拠です。

大森勝久
2015年6月7日記
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