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北海道庁爆破・再審請求裁判(大森勝久)


第49回 「ネジ発見」を真実らしく見せるための「演技」としての
「発見後捜査」(2013年9月1日記)

「ネジ発見」を真実らしく見せるための「演技」としての「発見後捜査」
●「ネジ発見押収」後の捜査経過
 前回に引き続いて今回は、再審請求補充書(一)の4つ目の見出し、「ネジ発見後の捜査の不自然さ」について説明していきます。

 主張の結論は、「このような(不自然な)捜査になったのは、ネジの『発見』後の捜査が、実は形だけのもので、結論はすでに出ており、あくまで、ネジが『発見』された事実を真実であるらしく装うためのものであったということを示している」ということです。抜粋していきますと、どうしても長くなってしまいますので、私の言葉で書いていくことにします。主旨は同じです。

 捜査の実質的な最高責任者であった石原警視は、公判で「(8月10日の発見押収ネジを)時計のビスではないかというふうには考えておりましたが、道庁事件の時限装置との結びつきがあるというところまでは考えておりませんでした」と証言(嘘です)し、そしてやっと8月15日(押収から5日後)になって、「8月15日ごろでなかったかと思いますが、捜査員に時計屋関係の捜査をさせました」と証言したのでした。1審91回公判でした。

 ネジを発見押収した里幸夫警部は、1審46回と47回で証言しています。8月15日から「発見押収ネジ」を持って、市内の聞き込みや栃木県のリズム時計の益子工場へ行くなどの捜査をした鶴原警部補は、47回で証言していました。発見押収ネジの精密測定などをした道警犯罪科学研究所の中島氏の証言は48回。発見押収ネジの鑑定などをしたリズム時計益子工場長の吉村氏の証言は49回です。

 「発見押収」後の捜査経過は次のようです。
 (1)8月15日。西川警部や鶴原警部補ら3人が「押収ネジ」を持って、市内の徳永時計店に行く。主人が4、5個の旅行用時計を出してきて、リン止めネジをはずして押収ネジを入れてみると、「シチズン」の2種類の時計とぴったり合った。鶴原氏らは、ぴったり合った時計のリン止めネジと、「押収ネジ」を、肉眼で比較対照してみると、色や形や大きさが一致した。それで、そのリン止めネジ1本を借りた。3人は、「シチズン札幌支店」へ行くと、シチズンの旅行用時計は「リズム時計」で作っているので、リズム時計札幌支店へ行くのがよい、と教えられた。

 (2)8月16日。鶴原警部補らは、徳永時計店で借りたネジを持ってリズム時計札幌支店へ行ったが、休みであった。支店長宅にも行ったが不在であった。

 (3)8月16日から18日。道警犯罪科学研究所の中島富士雄氏が、「発見押収ネジ」の精密測定を実施する。本件の時限装置であるシチズン・ツーリスト024のリン止めネジと一致することを確認する。8月21日付鑑定書を作成するが、証拠請求されていませんし、未開示です。

 (4)8月17日。鶴原氏ともう1人の捜査員が、徳永時計店で借りたシチズンの時計のリン止めネジ1本を持って、リズム時計札幌支店へ行き、それを見せると、リズム時計で作っている旅行用時計のリン止めネジであり、栃木県の益子工場で作っていること、リズム時計の独自の規格であることや、修理店には置いてないことが判明する。

 (5)8月23日。石原警視が、鶴原氏にリズム時計の益子工場に行って、「発見押収ネジ」の検査をしてもらうように指示する。

 (6)8月25日。鶴原氏が8月25日の午後2時頃に、「押収ネジ」と「捜査照会書」を渡される。出発し、翌26日益子工場に着く。

 (7)8月26日。工場長の吉村氏が検査をする。リズム時計の旅行用時計のリン止めネジである。ドライバー溝に傷がついている。鶴原氏もその場で傷を確認する。検査はその日で終了。鶴原氏は札幌へ帰る。

 (8)8月28日。道警犯罪科学研究所の中島氏が「押収ネジ」の鑑定を実施する。道庁爆破の現場物の中にはリン止めネジは存在しない。リン柱には他の部位のネジが流用されている。「押収ネジ」は現場物のツーリスト024のリン止めネジと形状、寸法が一致し、リン止めネジとして用いられるものである。これは、8月29日付鑑定書として証拠請求される。

 (9)9月8日。鶴原氏が、益子工場長の吉村氏に鑑定してもらうために、現場物のネジ、「発見押収ネジ」、「鑑定嘱託書」を持って出発する。

 (10)9月9日から9月13日。吉村氏が鑑定を実施する。9月13日鑑定書として証拠請求される。「発見押収ネジ」にはドライバー痕がついている。道庁爆破に使われたツーリスト024の犯人の元に残ったリン止めネジである可能性はある。

 道警は以上のごとく、随分時間をかけた捜査によって、「発見押収ネジ」は、道庁爆破のツーリスト024のリン止めネジであると結論づけて、裁判官らに8月10日の「ネジ発見押収」が真実であると印象づけようとしたのでした。しかし、次に述べるように、これらは「ネジ発見」を真実らしく見せるための演技、芝居だったのです。

●「ネジ発見押収」後の捜査は、「発見」を真実らしく見せるための「演技」であった
 前記の石原警視は、91回公判で私たちの反対尋問の追及にあって、私の逮捕の3ヶ月以上前から、実は道庁爆破のネジの使われ方が特異であったこと(つまり、リン止めネジ2本の代わりにプラスネジが流用されていて、犯人の元にリン止めネジ2本(マイナスネジ)が残ったこと)の報告を受けていたことを、認めざるをえませんでした。私たちは48回の中島氏への証人尋問で、追及して、ネジの使われ方が特異であること、またリズム時計のリン止めネジは独自規格であることを、早くに「爆弾捜査本部」に報告していたことを白状させたのですが、この事実を石原氏にぶつけることで、石原氏に上記のことを認めさせたのです。

 この事実は、前節の石原氏の証言が嘘であることを、自ら白状したのと同義です。つまり、前節で番号を付けて書いた捜査は演技、芝居なのです。

 「発見」がもし真実であれば、道警(石原氏)は歓喜し当日の10日に、この「発見押収ネジ」と既に入手済みのツーリスト024のリン止めネジを比較対照させる鑑定を実施させることになるからです。道警は3月にツーリスト024を1個、あとスピネットを2個、他のメーカーのものを1個入手しています(中島氏の48回証言)。

 前節の(1)ですが、肉眼で見て一致したと言いますが、長さ2.4ミリ、直径2.0ミリしかないネジの異同識別は肉眼では不可能です。2種類の時計ですから、1つは長さ2.40ミリ、直径2.0ミリ、もう1つは長さ2.41ミリ、直径2.0ミリかも知れないのです。だから、2本を借りなくてはなりませんが、1本にしたのは、キャップの西川警部は石原氏からいろいろ言い聞かされていたということです。(2)(4)も「発見押収ネジ」を持って行くべきなのに、借りたネジを持って行っています。ここからも、演技であることが判ります。(8)の鑑定ですが、中島氏は私たちに追及されて、前半部分は、事件後の捜査で既に判明していたことをここに書いただけであることを、認めました。

 このような不自然、不合理な捜査をしたことが、「ネジ発見」が捏造であることの状況証拠です。

2013年9月1日記
大森勝久

【追記】
 9月21に第48回コラムを特別にアップしましたので、関心がおありの方はご覧になってください(大森)。

第48回 私のいくつかのアパート生活(2013年9月7日記)
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北海道庁爆破・再審請求裁判(大森勝久)