●2013年1月23日、弁護人が第2次再審請求を行いました
これまでの流れを整理しておきましょう。
「前再審請求」は、2002年7月30日に札幌地裁に対して行いましたが、札幌地裁は、2007年3月19日に再審請求を棄却しました。これを「1審決定」と言うことにします。
私たちは、2007年3月22日に札幌高裁に「即時抗告の申し立て」をしたのですが、札幌高裁は2008年5月28日に、即時抗告を棄却しました。これを「抗告審決定」と言うことにします。
私たちは2008年6月2日に、最高裁に「特別抗告の申し立て」をしましたが、最高裁は2011年12月19日に特別抗告を棄却しました。これで、「1審決定」の再審請求棄却が確定したのでした。
その後私たちは、第2次再審請求に向けて準備を続けてきました。第2次再審請求をするためには、新証拠を用意しなくてはなりません。前再審請求で使いました新証拠は、もはや第2次再審請求には新証拠としては使用できません。
新証拠が出来上がりましたので、今回の請求となったのでした。
●「山平鑑定の不存在」の新証拠と「発見ネジは捏造物」の新証拠
今回は、第2次再審請求書の概略を述べます。
(1)「山平鑑定の不存在」の新証拠
前再審請求でも、山平鑑定(8月8日の午後2時30分までに投棄物のビニールシート、カーテン、軍手から、塩素酸イオンが検出された)は不存在である、と主張しました。
私たちは、第1審および控訴審(第2審)における山平氏の証言に基づいて、「ビーカー」を使って水溶液を濃縮する「追試」を行い(DVDに収める)、午後2時30分までに3つの水溶液を濃縮してイオン検査をすることは、時間的に不可能であることを証明したのでした。すなわち、山平鑑定は不存在であり、虚偽だということです。
しかし検察官は、「蒸発皿」で濃縮すれば時間的に可能だと主張し、「1審決定」も「抗告審決定」も、それを支持して前再審請求を棄却し、即時抗告を棄却し、最高裁も特別抗告を棄却したのでした。
そこで私たちは、「蒸発皿」を用いて濃縮する「追試」を行い、DVDに収めました。新証拠です。
「蒸発皿」を用いても、ビニールシート、カーテン、軍手の3つの水溶液のうち、第1水溶液(最初に濃縮に取りかかった水溶液)しか時間内に濃縮することはできないことが判明したのです。山平鑑定は「2時30分に前記3点から塩素酸イオンを検出したと電話で中間回答した」というものです。すなわち、山平鑑定は存在しなかったのです。虚偽の鑑定書です。私が除草剤(塩素酸ナトリウム=火薬の主剤)を所持していたとする証拠はなくなりました。「本件爆発物製造」という中心的な間接事実は認定することができなくなります。当然、公訴事実である「実行」は認定できません。
(2)「発見ネジは捏造物」の新証拠
前再審請求では、「発見ネジは捏造物である」の主張は、していませんでした。第2次再審請求において初めてする主張です。この主張を立証する新証拠として、私たちは、8月10日に私の居室で、リン止めネジ1本が布団袋の中にあるのを「発見した」と証言した、里幸夫警部の「発見状況証言」の「追試」を行い、DVDに収めました。新証拠です。
「追試」を行ってみますと、里証言はことごとく虚偽であることが明白になったのです。たとえば彼は、「布団袋を2人に持たせて畳から上げ、手を布団袋の中へ入れて、底をトントンとたたき、ゴミを中央部に集めた」と証言しましたが、深さが80pもある布団袋では、手は底に届かないのです。
すなわち、里警部は虚偽を証言していることが明らかになったのです。道警は早くから、本件爆弾事件では、時限装置に使われたトラベルウォッチのリン止めネジ2本が、犯人のもとに残されたことを把握していたのでした。それで道警の幹部は、私が逮捕された8月10日の居室の家宅捜索時に、里警部にリン止めネジを持たせて、「発見」を捏造させたのでした。
本再審請求書は「第五 結論」として、「請求人について、無罪を言い渡すべき明らかな証拠が新たに発見されたのである。よって、再審事由(刑事訴訟法第435条6号)が認められるから、直ちに再審が開始されなければならない。」と結んでいます。
次回以降により詳しく述べていくことにいたします。
2013年1月30日記
大森勝久
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